「きのこ」は、食材やキャラクターとして日常的に接する馴染み深い存在です。その一方で、知られざる側面の多い特異な生態、マジックマッシュルームの引きおこす幻覚作用に加え、ファンタジーや生死にまつわる多くの連想を引き出す題材であり、様々な分野の芸術家にもインスピレーションを与えてきました。
また、振りまかれた胞子が形成する菌糸のネットワークや、そこかしこから発生してくるメカニズムが、際限なく広がる目に見えない連なりや、その神秘的な存在への共感や憧れを喚起し、自身の存在と重ね合わせるような、熱心な愛好家を惹きつけています。
きのこ的アート 美術館でモリモリ増殖中
本展覧会は、架空の研究所における調査結果に見立て、きのこを愛する制作者たちの執着の様に迫り、その豊かな成果の広がりに触れる試みです。写真評論家であり、近年はきのこ文化研究者としても広く知られる飯沢耕太郎氏を「きのこアート研究所」の所長に迎え、きのこをモチーフとした絵画や立体造形のほか、イラスト、切手、絵本からファッション、雑貨など、多分野にわたる表現を紹介します。会期中にはきのこにまつわる関連イベントを開催します。
飯沢耕太郎(いいざわ・こうたろう)
1954 年宮城県生まれ。日本を代表する写真評論家であり、きのこ愛好家としても知られる。写真関連書籍の他、『歩くキノコ』(水声社・2001)、『世界のキノコ切手』(プチグラパブリッシング・2007)、『きのこ文学大全』(平凡社・2008)、『マジカル・ミステリアス・マッシュルーム・ツアー』(東京キララ社・2010)など。

草間彌生《毒きのこ》1990年
大竹茂夫《クサナギヒメタンポタケの人々》1999年
黒田潔「TO THE FOREST」(展示風景)@btf .東京. 2010年