Hiroshima MOCA

2009年度

2009年度の特別展


マーティン・クリード




会期:2009年5月23日(土)〜7月20日(月・祝)
マーテイン・クリード(1968年生まれ、ロンドン在住)は、1990年代初頭に活動をはじめ、日常とアートが境なく続いていることを、時にユーモラスに、またラディカルなほどシンプルな形体や手法によって表現してきました。2001年にはイギリスで活躍する現代美術家に授与される「ターナー賞」を受賞し、その活動は国際的に大きな注目を浴びています。クリードは、身のまわりにあるものに触発され、音や光といった形のないものさえも素材として、絵画、ドローイング、立体、映像、サウンド・インスタレーションなど、多様な作品を創り出してきました。本展は、代表作から広島市現代美術館のための新作、日本初演となる交響楽団による作品演奏まで、アートに対する凝り固まった既成概念を大きく揺るがし続ける気鋭のコンセプチュアルアーティストの試みを、包括的かつ野心的に紹介するアジア初の展覧会です。
 

小沢剛:透明ランナーは走りつづける




会期:2009年8月1日(土)〜9月27日(日)
日常に眼差しを向け、人々と関係性を築きながら制作活動を行っていく新しい潮流が、1990年代にはいり日本のアートシーンに生まれました。小沢剛(1965年/昭和40年生まれ)はその潮流を牽引してきたアーティストです。移動を続け、美術のために用意された安定した場所から時に離れ、制作を行ってきた小沢の活動を、本展では“継続型のプロジェクト”に焦点をあて紹介します。小沢が制作活動を続けてきた過去20余年は、冷戦の終焉、日本のバブル経済の崩壊、人・もの・情報が行き交うグローバリズムの訪れ、テロの恐怖の蔓延など、社会的、経済的価値観が転覆し大きく変化していきました。そうした中、小沢は自らの身の回りの事象に関心を向けることに立ち戻りながら、ユーモア溢れる解釈や手法によって現代の抱える矛盾や問題点をやわらかに浮かび上がらせてきました。日常という地平から問いかける小沢は、作品制作のプロセスを重視し、観客として鑑賞するという受動的なポジションから、過程を共有する当事者としても私たちを呼び込んでいきます。旅する先々で作品を制作し、長期に渡って継続しシリーズ化してきました。地域性、社会性を作品に映し出しながら、多様な世界を小沢は黙々と走り続け、目には見えない足跡を刻んでいます。『地蔵建立』、『なすび画廊』など最初期に始まったプロジェクトから『ベジタブル・ウェポン』、リサイクルと循環への関心から生まれた再生紙を使用する新作など、走ることを止めない小沢の活動を追っていきます。

開館20周年記念特別展 荒木経椎 広島ノ顔




会期:2009年10月10日(土)〜12月6日(日)
日本が世界に誇る写真家、アラーキーこと荒木経惟(1940年生まれ)は、一般の人々の普段の姿やヌード、咲き誇って枯れていく花、街並みや路地といった風景、猫など、さまざまな対象を被写体とし、その時代の表情を斬新な切り口によって撮影しつづけてきました。そのアラーキーが近年挑んでいるのが、究極のヌードともいえる「顔」。広島市現代美術館開館20周年を記念して開催する本展覧会は、荒木が撮影した広島に暮らす人々、「広島ノ顔」が主役となります。荒木はテンポよい独特の話術によって徐々にモデルたちの緊張を和らげ、素顔を引き出し、ベストの一瞬を見事に捉えます。6月、7月の二度にわたってとり行われた撮影会は、被写体として選ばれた461組(1035人)の撮影を多くの見学者が見守る中、大盛況のうちに終了しました。本展では、荒木が精力的に撮り下ろした、現代の広島に暮らす人々—惨禍を体験しながらも都市の再生に努めてきたお年寄りから、広島の未来を担っていく子どもや若者まで—のポートレイトを一挙大公開いたします。また今回は本展のために特別に撮り下ろし、原爆の惨禍から見事復興を果たした広島に荒木が捧げる花の写真約100点も同時に展示いたします。「広島ノ顔」は、日本全国に暮らす人々数万人の肖像を網羅的に写真におさめ、現代日本とその文化の総体を記憶し、未来に残そうという荒木が続ける「日本人ノ顔プロジェクト」の一環です。

一人快芸術




会期:2009年12月19日(土)〜2010年2月21日(日)
たとえば、たった一人の人物により50 年以上の歳月を費やして撮りためられた、40 万カットにものぼる街の復興の記録写真。あるいは、大家さん夫婦が自力で作り上げた、地下1 階・地上6 階建ての世界最大級のセルフビルド集合住宅。知的障がいをもつ青年が、日々の繰り返しとして書き綴った膨大な日付の山。
それらは、ことさら芸術作品として作られたり、発表されたりしたものではありません。にもかかわらず、「写真」や「建築」、「日記」などの役割や基準といった枠組みを軽々と超えて、その行為や物に宿る過剰さが多くの人々を惹きつけます。そのような行為をも含めたものとして芸術を捉えた場合、その作品体験とは、いかなる衝撃をもたらしてくれるのでしょうか。
本展覧会は創ること、行為することそのものの楽しみや悦びに裏打ちされた表現に注目し、様々な分野における多彩な活動を紹介するものです。近年アウトサイダーアートとして注目を集める、知的障がい者やアマチュア制作者から、職業的なプロとしてのアーティストの作品まで、19人/組による活動を紹介します。
自己充足の行為という意味合いをもつ造語「一人快芸術」をキーワードに、あらためて創ること、行為することの動機付けについて探ります。既存のシステムから距離を置くことを可能にする態度、そのあらわれとしての芸術が、個人の営みを超えて、私たち観る者にも勇気や自由をもたらしてくれることでしょう。
広島市現代美術館/〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1 TEL.082-264-1121
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