Hiroshima MOCA

特別展

ウィリアム・ケントリッジ―歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……

2010年3月13日(土)〜5月9日(日)

 ウィリアム・ケントリッジ(1955年南アフリカ共和国生、ヨハネスブルグ在住)は、1980年代末から、「動くドローイング」とも呼べるアニメーション・フィルムを制作しています。木炭とパステルで描いたドローイングを部分的に描き直しながら、その変化を1コマ毎に撮影する気の遠くなるような作業により、絶えず流動し変化するドローイングを記録することで生まれる彼の作品は、独特の物語性と共に集築された行為と時間を感じさせる重厚な表現となっています。
 ケントリッジの作品は南アフリカの歴史と社会状況を色濃く反映しており、自国のアパルトヘイトの歴史を痛みと共に語る初期作品は、脱西欧中心主義を訴えるポストコロニアル批評と共鳴する美術的実践として、1995年のヨハネスブルグ・ビエンナーレや1997年のドクメンタ10などを契機に世界中から大きな注目を集めるようになりました。しかし私たちは、その政治的外見の奥で、状況に抗する個人の善意と挫折、庇護と抑圧の両義性、分断された自我とその再統合の不可能性などの近代の人間が直面してきた普遍的な問題を、彼の作品が執拗に検証し語り続けていることに注目すべきでしょう。「石器時代の映画制作」と自称する素朴な制作技法に固執しながら、ケントリッジは近代の物語生成の原点を、そしてヨーロッパ植民地主義の病理の原点を作品を通じて探求しているのです。精緻なセル画アニメやCGが主流である現代のアニメーション制作の状況の中で、ケントリッジの素朴な技法は対極に位置していますが、強靭な知性に支えられた力強い表現は、ドローイングのコマ撮りアニメーションが未だに有力な表現手法となり得ることを証明しており、1990年代中頃からその作品は、世界中の若い世代の美術家たちに大きな影響を与え続けています。
 今回の展覧会は、ウィリアム・ケントリッジとの3年間にわたる緊密な協同作業を経て実現されるもので、日本では初の大規模な個展となります。南アフリカの歴史を扱った初期の代表作《プロジェクションのための9つのドローイング》(1989-2003)から、ショスタコーヴィチのオペラ『鼻』を題材にした最新作の《俺は俺でない、あの馬も俺のではない》(2008)まで、フィルム・インスタレーション4点を含む18点の映像作品と、約90点の素描、版画により、ウィリアム・ケントリッジという私たちの同時代の美術家の作品とその知的挑戦の全体像を紹介します。
 

基本事項

会期 2010年3月13日(土)〜5月9日(日)
開館時間 10:00〜17:00
※3月26日(金)〜4月4日(日)、5月3日(月・祝)は19:00まで開館
※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日
(3月22日(月・祝)、5月3日(月・祝)は開館、
3月23日(火)、5月6日(木)は休館)
観覧料 一般 1030(820) 円
大学生 770(610) 円
小中高生 510(400) 円
※( )内は前売りおよび30名以上の団体料金
チケットぴあPコード:688-972
≫前売り券の取り扱い場所一覧
≫観覧料の区分について
主催 広島市現代美術館、京都国立近代美術館、中国新聞社
後援 南アフリカ共和国大使館、広島県、広島市教育委員会、広島エフエム放送、尾道エフエム放送


《鉱山/私のもの》(スチール)
1991年
© the artist
 


《俺は俺ではない、あの馬も俺のではない》より《同志鼻陛下》(スチール)
2008年
京都国立近代美術館蔵
© the artist
 

関連プログラム

●2010年4月16日(金)19:00-20:00(18:30開場) 

【ウィリアム・ケントリッジによる レクチャー/パフォーマンス】

「I am not me, the horse is not mine」

<ケントリッジ来広!展示とともに必見のパフォーマンス>

自作テキストの朗読と、ケントリッジが登場する映像と本人が共演するパフォーマンスをミックスしたステージ。ニコライ・ゴーゴリの短編戯曲「鼻」(1836)とこれを原作とするドミートリイ・ショスタコーヴィチ作曲の同名の
オペラ(1930)が題材となっています。ニューヨークメトロポリタンオペラで新作上映後、来日決定!広島で1回限りの公演が実現しました。

会場:広島市南区民文化センター  3階ホール 
(広島市南区比治山本町 16-27 広島産業文化センター内)
[定員] 500名 入場無料

※英語(日本語字幕付き)
※満席の場合、入場できないことがあります。ご了承ください。
※このパフォーマンスについては、整理券ならびに当館友の会会員の優先予約は行いません。お席は500席ご用意しておりますので、当日は開場時間(18:30)にお越しくださいませ。

主催・お問い合わせ:広島市現代美術館
 

2010年3月14日(日)14:00〜15:30*終了しました

【講演会】

[講師] 河本信治(京都国立近代美術館学芸課長、本展企画者)
本展の企画者が、展覧会の内容やウィリアム・ケントリッジについて語ります。
※ 聴講無料、申込不要

●2010年4月10日(土)14:00〜、18:00〜 (各回80分)

【上映会】ウィリアム・ケントリッジ、ジョルジュ・メリエス作品上映会

ケントリッジの映像作品と彼が影響を受けた、フランス映画のパイオニア、ジョルジュ・メリエス(1861-1938)。彼の貴重な作品を、ケントリッジの映像作品とあわせて上映します。
共催:映像文化ライブラリー (TEL 082-223-3525)
フィルム・写真提供(メリエス作品):東京国立近代美術館フィルムセンター

[上映作品]  ジョルジュ・メリエス:星占い師の夢(1898年)、月世界旅行(1902年)、アラビアン・ナイツの宮殿(1905年)、極地探検(1912年)、シンデレラ(1912年)ウィリアム・ケントリッジ:月世界旅行(2003年)
[料金] 500円 ※高校生以下など無料(その他料金免除の規定あり。詳細はこちら )
[定員] 約170名

[会場] 映像文化ライブラリー(広島市中区基町3-1)


●2010年4月25日(日)10:30−16:30

【キッズ・アニメーションワークショップ】

「春をさがしてみんなでアニメーションにしよう」

みんなで比治山を歩いて春の風景を描き、ひとつのアニメーションにします。
[講師] 米正万也(アニメーション作家) 
[対象] 10才以上
[定員] 20名
※参加無料、要事前申込
[申込方法] 参加者の氏名および年齢、保護者の氏名、住所、電話番号を明記の上、往復はがきまたはEメールでご応募下さい。
締切:4月16日(金)必着、応募者多数の場合は抽選

広島市現代美術館「アニメーションワークショップ」係
〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1
TEL:082-264-1121
E-Mail:hcmca@hcmca.cf.city.hiroshima.jp
※申込は一通につき3名様まで応募出来ます。
※申込者多数の場合は抽選となります。締切日の翌日以降の抽選となりますので、申込をキャンセルされる方は早めにご連絡ください。
※メールで申し込まれた方には3日間以内に受領のメールを送らせていただきます。受領メールが届かない場合は、お手数ですがもう一度ご送信いただくか、往復はがきでお申込ください。
 
 

●2010年3月27日(土)、5月1日(土) いずれも14:00〜15:00

【ギャラリー・トーク】

学芸員が会場で展覧会を解説します。
※ 要展覧会チケット、申込不要


'I am not me, the horse is not mine' 2008年



《ユビュ、真実を暴露する:第1幕 第2幕》
1996-97年
© the artist


 

Portrait
ウィリアム・ケントリッジ肖像写真
photo by John Hoggkiss
 
 
広島市現代美術館/〒732-0815 広島市南区比治山公園1-1 TEL.082-264-1121
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